CASE
社長が今いちばん気にしている数字が毎朝そろっている。エンタメ系の会社に社長専用の経営ダッシュボードを10万円で作った話

エンタメ系の会社の社長のために、その人が今いちばん気にしている数字だけを映す経営ダッシュボードを作りました。会計ソフト・決済サービス・表計算・銀行口座に散らばっていた数字を毎朝自動で集め、「今期このまま行くと、税金を払ったあとにいくら残るか」を1枚で出します。開発期間は半月、費用は10万円。関心が変われば画面も作り替える前提です。
数字そのものは、これまでも会計ソフトや表計算を開けば見られました。変わったのは、それを集めて並べる作業を人がしなくなったことと、社長が毎朝見るようになったことです。もしこれをシステム開発会社に頼めば、会計ソフト連携と画面で100万〜200万円になる規模です。AI実装デスクは、これをおよそ15分の1の費用で実現したことになります。
どんな状態だったか(Before)
この会社の数字は、会計ソフト・決済サービス・売上の表計算・銀行口座・契約の一覧に分かれていました。月に一度、担当者がそれぞれを開いて数字を拾い、1枚の表にまとめて社長に渡していました。数字はどこにもある。ただ、集めて並べるのは人の仕事でした。
もう1つ、その表は社長の問いに答えていませんでした。社長が知りたいのは「今期このまま行くと、税金を払ったあとにいくら残るか」と「契約が1つ終わったら、それがどう変わるか」です。会計ソフトの試算表は先月までの実績しか出しません。契約の終了や値上げは社長の頭の中にあって、どの画面にも載っていません。市販の経営ダッシュボードも試しましたが、見たい数字を探して画面を触ることになり、次第に開かなくなりました。
つまり、数字はそろっているのに、社長の問いに答える形になっていない状態でした。
AI実装デスクが作ったもの
最初にしたのは、作ることではなく聞くことです。社長が毎朝見たいものは何か、逆に見なくていいものは何かを聞き取り、画面をそれだけに絞りました。この会社の場合、中身は次のようになりました。
- 今期の売上・営業利益・手残りの予測が分かる画面: 「今期このまま行くと」の売上・営業利益・税金を払ったあとの手残りが、画面のいちばん上に並びます。
- 契約リスト: 毎月の売上と支出を契約ごとに登録した一覧。値上げの予定や契約の終了日もここに入れます。予測はこのリストを積み上げて作るので、契約が1つ終われば、その日のうちに着地の数字が変わります。
- 毎朝の自動更新: 会計ソフトから最新の数字を自動で取り込み、契約リストと突き合わせ、画面を作り直します。人は何もしません。
- 数字がずれたら、社長にチャットで聞いてくる: 毎月入るはずの入金が止まっている、リストにない大きな支払いが出てきた。そういうときは、社長のチャットに「この契約、終わりましたか?」と質問が届きます。社長が一言返信すると契約リストが直り、次の朝には予測に反映されています。
- 税金と大きな出費の予定表: 消費税や法人税の納付月、年払いの費用を並べ、月ごとの現金の残高がどう動くかを出します。
- 数字ごとの根拠リンク: 画面の数字はどれも「会計ソフトのこの数字」「契約リストのこの契約」へのリンクを持っています。数字を疑ったとき、その場で元を確かめられます。
実際に活用し続けるための工夫
ダッシュボードを作ること自体は、AIを使えば難しくありません。難しいのは、社長が毎朝開き続ける画面にすることです。この案件で入れた工夫は次の4つです。ここに専門家の仕事があります。
- 「何を映すか」を決める聞き取りに、仕事の半分を使う: 欲しい指標を全部並べると、市販のツールと同じものができます。社長の問いを1つに絞り、それに答える数字だけを上に置き、残りは下に畳みました。指標を減らすほど、画面は毎朝見るものになります。
- 直近の数字は信じない設計にする: 会計ソフトの直近1〜2ヶ月は、記帳が追いついていないことがほとんどです。ここをそのまま使うと、先月の利益が大きく見えたり小さく見えたりして、予測が毎回ぶれます。直近は契約リストの予定額を使い、実績は3ヶ月前から確定として扱う決まりにしました。
- 社長を煩わせる質問を出さない: 入金が1ヶ月止まっただけでは聞きません。記帳の遅れかもしれないからです。2ヶ月続いて初めて質問し、1回に届く質問は最大5件、同じ質問は繰り返しません。質問が多いと、社長は返信しなくなります。
- 公開後も数字を見て、画面を作り替える: 作って終わりにせず、公開から1ヶ月後に予測と実績を突き合わせて監査し、予測がずれる原因になっていた点を直しました。画面の構成もこのとき一度作り直しています。社長の関心が変わったときも、同じやり方で作り替えます。
結果、どうなったか(After)
- 数字を集めて並べる作業がなくなった: 月に一度、担当者が会計ソフト・決済サービス・表計算・銀行口座を開いて表にまとめる作業が、ゼロになりました。これにより、担当者の時間が売上につながる仕事に回るようになり、利益アップにつながっています。
- 決算を待たずに手を打てるようになった: 「今期このまま行くといくら残るか」が毎朝出るようになり、赤字で終わりそうなら期の途中で営業目標や支出を変えられるようになりました。これにより、判断が半年早くなり、期末の利益が上がるようになりました。
- 契約が1つ終わった影響が、その日に金額で分かるようになった: 契約リストに終了日を入れた瞬間、今期の着地と「黒字にするために必要な月の売上」が数字で出るようになりました。これにより、営業の目標が具体的な月額になり、売上アップにつながっています。
- 画面の数字が、社長の手を煩わせずに正しいまま保たれるようになった: 会計の数字と契約の前提がずれたら、システムが先に気づいて一言で確認してくるようになりました。これにより、毎朝見る数字を疑わなくてよくなり、打ち手が正確になりました。
- 税金の納付月に現金が足りない事態を防げるようになった: 納付月と大きな出費が予定表に載り、現金の残高予測に反映されるようになりました。これにより、資金繰りのための借入や支払いの遅れがなくなりました。
- 数字をまとめる人件費だけで10ヶ月で回収できる: 数字をまとめる作業は、時給2,500円のスタッフが月4時間かけていれば月1万円です。これがなくなるだけで、10ヶ月で戻ります。それより大きいのは打ち手の側です。今期の着地を毎朝見て、営業目標や支出の見直しを1回でも早く正しく打てれば、その差額で10万円はすぐに戻ります。
費用と期間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 立ち上げ(聞き取りから公開まで) | 半月・10万円 |
| 会計ソフト・決済サービス | 今使っているものをそのまま |
| サーバーの維持費 | 無料枠の範囲 |
もしこれを開発会社に頼めば、会計ソフト連携と予測の仕組みと画面で、100万〜200万円が一般的です。差が出る理由は、聞き取り以外のほとんどを私たちがAIを使って作るからです。人が手を動かす時間が一桁少なくなり、費用もそれに比例します。画面を作り替えたいときも、同じ理由で小さな費用で済みます。
今後の拡張アイデア
社長の関心は変わります。この仕組みは、関心が変わったときに画面を足したり入れ替えたりする前提で作ってあります。
- 採用を考え始めたら、人件費の試算: 「1人雇うと今期の着地がいくら変わるか」を、契約リストに1行足すだけで出す。
- 借入を考え始めたら、銀行に出す資料の自動生成: 画面の数字から、月次の推移と着地見込みの資料を自動で組む。
- 事業を増やしたら、事業別の着地: どの事業が利益を出し、どの事業が食っているかを、同じ画面で分ける。
- 週に一度、チャットに要点だけ届く: 画面を開かなくても、毎週「着地は先週から◯万円動きました。理由はこれです」と一言が届く。
いずれも、契約リストと自動更新の土台ができていれば、1つずつ小さく足していけるものです。
御社の場合は
エンタメ系の会社の話として読む必要はありません。この仕組みの本体は「散らばった数字を毎朝自動で集める」ことと「社長の問いに答える形にだけ絞る」ことの2つです。
- 毎月、誰かが数字をまとめる作業をしている会社: 会計ソフト・決済・表計算・銀行口座を開いて表を作る作業は、そのまま自動化の対象です。人が集める作業がなくなるだけで、費用は戻ります。
- 今いちばん知りたい問いが1つ言える会社: 「現金がいつ減るか」「どの商品が利益を出しているか」「来月の人手は足りるか」。問いが1つ言えれば、それに答える画面が作れます。
- 市販のダッシュボードを入れたが、見なくなった会社: 御社が特殊なのではなく、誰にでも合う画面は誰にもぴったり合わないだけです。見たいものに絞り直せば、毎朝開く画面になります。
- 見たい指標が定まらず「全部」になる会社: その場合、絞る作業から一緒にやることになるので、まず市販のツールを一定期間使い、よく見る画面を確かめてからのほうが安く済みます。
この会社では半月・10万円でした。会計ソフトの種類は問いません。つなぐデータの数と、答えたい問いの数で、規模と期間は変わります。
この記事の根拠
- AI実装デスクが構築・運用している経営ダッシュボード(2026年7月〜・エンタメ系企業)の設計記録と運用ログ(自動更新の実行記録・確認質問と回答の記録)。開発期間・費用は実績値
- 「開発会社なら100万〜200万円」の根拠: 会計ソフト連携を含む経営ダッシュボード・BI導入の公開相場(中小企業向けの個別開発で100万〜200万円、パッケージ導入でも初期数十万円+月額)。2026年9月に複数メディアで確認